「梅雨空を吹き飛ばせ」 
◆ 伊豆フィルアドヴァイザー/村田 稲造

 「ファミリーコンサート」というからには、お子様づれのパパとママ、私のような人間がもっともらしく批評など場ちがいの、ナンセンス。しかし、いったん約束してしまった以上、何か書かないわけにはいかない。お気に障ったら、おゆるしを。
 と、まず断っておいて、さて、オペレッタ「軽騎兵序曲」、スッペの名曲。大昔、小学1年、音楽室で、先生から、「ウイリアム・テル序曲」と一緒に聞かされたSPの音。
一瞬少年時代が蘇る懐かしさ。
 冒頭、トランペットとホルンのファンファーレ、この音量が大きいの小さいの言う方が無理、思いっきり吹きたくなる奏者の気持ちは分かる。しかし、あとに出てくる弦のこと考えると、程度がむずかしい。騎馬の蹄(ひづめ)の音を思わせるギャロップのリズムと、短調に一転した、夜営のチェロのエレジーの対比、ここでしんとこないと面白くない。
 「ツィゴイネルワイゼン」ヴァイオリン名曲の代表。ソロは小澤麻里さん、伊豆フィルの団員だ。出だしの低弦も堂々とし、中間もあまりねばらずに、それが、かえって抒情味をすっきり出していた。チャルダッシュの仕上げ、追い込みもよく、今後が楽しみだ。これで民族的な肉付けが加われば申し分ない。
 宮崎マンガの「となりのトトロ」、久石譲の作曲だ。久石氏が自らピアノを弾き、室内アンサンブルを指揮しているのを映像で見たことがあるが、これは大編成だ。プロにはオーケストラストーリーとある。映画のキャラクターをはっきり出す点で、大きい方がいいのか小編成がいいのか、一概には決められないが、子供の歌、合唱など、アニメには人声が欲しいような気もした。
 ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」。これに先立って、テーマ曲のハイドンを聞かせたのは親切だった。五重奏のアンサンブルもよかった。全体の中で唯一腰の坐った曲だ。弦楽器がのびのびと弾いていた。ややもすれば金管の下敷きにされそうな中で、分厚に響いた。折悪しく雨で、弦には不都合だったかもしれないが、後半から終結にかけてブラームスらしさが乗ってきた。
 アンダーソンの三曲文句なしに楽しめたと思う。
 最後のデュカス「魔法使いの弟子」。指揮者の扮装も効果満点、ナレーションの金杉さんとぴたり息が投合して、コンサートのホスト、ホステスぶりを遺憾なく発揮した。金杉さんのお話に、眠ったり、ぐずったりしていた子供たちが、いっせいに目をパッチリ開いて、魔法使いの棒に吸い付けられた。
 今回、田久保氏のアイディアとサービス、その音楽的効果に聴衆の方も充分応えていた。終わりの「ふるさと」の合唱では、ジイちゃん、バァちゃんの声の方が大きかった。ラデッキー行進曲の拍手も梅雨の不景気を吹き飛ばしてくれればいいのだが。


                  〜第28回定期演奏会を聴いて〜
 
 「『音の宝石箱』によせて」
◆ 杉谷 昭子

 ヨーロッパと日本での40年という長い演奏並びに教職活動をしていて常日頃思うことは、美しい音で精神性の高い音楽を作るのは楽しい、本人だけでなく、聴く人の心をどこか幸せにするということです。
 ピアノを練習していても、自分ではどこが良くて、どこが良くないのか本来わからないものです。ちょっとした、ワンポイントアドヴァイスでも、ぱっと目の前が開けることがあります。何か人生にも通じるところがありませんか?この「音の宝石箱」は、ピアノを練習している方、あるいは習ってはいないけれど音楽が好きな方、また小さなお子さんに聞いてもらっても、堅苦しくない楽しい講座になるようにしたいと思っています。
 偶然ですが、ちょうど今、『ショパン』というピアノの月刊誌で『昭子先生のお話』というページをいただいて美しい音の出し方などを書いているのですが、この「音の宝石箱」では、雑誌の内容を実際の音を出しての講座にする感じでとても嬉しく思います。
 私が伊豆フィルの第26回定期演奏会でチャイコフスキーのピアノ協奏曲を共演してから、伊豆フィルとご縁ができました。もっとも伊東にも家があるので、私も伊東の「住人」なんですが・・・。でも、このことがなかったら、このような形で、伊豆の皆さんと音楽を通じた係わり合いはもてなかったかもしれません。今回から、伊東市教育委員会と伊豆新聞が後援してくださることになったということで、とても感謝しております。
 第2回目のロマン派は情感豊かな、素晴らしい世界です。ショパンなど美しいピアニズムと、ブラームスなどの重厚な、オーケストラの様な響きの弾き分けなど、同じピアノでもちゃんと弾き分けることができるということを感じてもらいたいと思っています。用意した曲は、ショパンの「子犬のワルツ」や、映画「戦場のピアニスト」で一躍有名になった遺作の「ノクターン」、「軍隊ボロネーズ」などで、皆様におなじみの曲を選びました。ブラームスも「ラプソディー第2番」を弾きますので、その違いが分かると面白いと思います。
 ワンポイントアドヴァイスコーナーに質問コーナー、トーク付ミニコンサートもあり、アドヴァイスコーナーを受講する方に私からちょっとしたプレゼントも用意しました。まるで玉手箱のようなイメージです。何が出てくるのでしょう?!
 一人でもたくさんの方と、ピアノという楽器を通して「語る」ことができればと願っておりますので是非いらしてください。お待ちしています。

                          
 「わくわくした人生を走者も聴く人も」 
◆ 元放送局勤務/盛 静雄

 チャイコフスキーピアノ協奏曲第1番第1楽章、ホルンに導かれオーケストラがじゃんじゃんじゃんときてピアノが華麗な和音を弾き続け主題から序奏部約35分の壮大な物語がスタート。そしてあのボヘミアンのドヴォルザークへどっぷりと・・・・。
 外は伊東線全線が不通になるほどの大雨。でもたくさんのお客様は熱気に包まれ陶酔の世界へ・・・・。
 伊豆フィルはもう15年目26回の定期演奏会との事素敵です。おめでとうございます。
 残念ながら日本のオーケストラはヨーロッパに比べて全然厳しい状況、特に地方のオケは運営に多大な苦労があると聞いております。団員一人ひとりがオケが好きでたまらないという情熱が支えています。仕事や家庭やスポンサー探しチケット販売大変です。
 小生の知人にも居酒屋のおやじがいました。どう見てもクラシックより北島三郎タイプ。そんな彼が好きなのはブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」オッフェンバックの「天国と地獄序曲」。曲に乗って焼き鳥を焼いている。まあ想像してみて下さい。オーケストラは本当に楽しいです。演奏する人も鑑賞する人も。頑張ってください。

 さて杉谷昭子さんは演奏活動40周年を迎えられましたが、その大半をドイツ中心にオランダその他ヨーロッパに拠点を置かれていました。今こうして日本各地で演奏活動されていますが、小生が初めて杉谷さんのピアノコンチェルトを聴いたのは1991年4月東京サントリーホールでモスクワ室内管弦楽団とのモーツァルトピアノ協奏曲第9番「ジュノム」。ショスタコーヴィッチピアノ協奏曲第1番。これはソ連芸術祭の一環でゴルバチョフ大統領来日記念で当時は皇太子殿下、杉谷ファンの秋篠宮妃殿下ご両親川嶋辰彦ご夫妻やシュミット西ドイツ元首相などの臨席、伝統を誇るオーケストラ、楽員一人ひとりがソリスト級、感激しました。その後も川嶋ご夫妻は杉谷さんのコンサートにたびたび来られ打ち上げパーティーはいつも賑やかでした。
 チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番では渋谷オーチャードホール、ウラディミール・ヴァーレク指揮によるプラハ放送交響楽団でのソリスト杉谷昭子には痺れました。
 そして小生のピアノコンチェルトナンバーワンは「皇帝」。今まで印象強い「杉谷皇帝」は1992年11月のオールベートヴェンプロ、序曲「レオノーレ」第3番。交響曲第5番「運命」。そしてピアノ協奏曲第5番「皇帝」。指揮ワルター・ヴェラ−率いるシュトゥットガルト・フィル、1988年に次ぐ2度目の来日でした。キャッチコピーに壮麗な響きがもたらす計り知れない生命力。ほとばしる情熱。そのとおりベートーヴェンの真髄でした。そしてEU連合文化使節団として1998年来日したオランダの最も伝統のあるシンフォニーオーケストラ「マーストリヒト交響楽団」(東京オペラシティコンサートホール)指揮は読響や東フィル、都響など数多く客演したローランド・ハーダー氏、打ち上げはユーモアのある楽しい方でした。この「皇帝」も良かった。
 また2002年のワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の「皇帝」(東京オペラシティコンサートホール)指揮カジュミル・コルド。ちなみにこのオケは指揮者にフルトヴェングラー、ラフマニノフ、ワルターなどピアニストではアシュケナージ、バックハウス、ホロビッツ、ケンプ、ルービンシュタイン等々キラ星のごとくです。もちろん杉谷さんも乗っていました。最後にCD全集ですがベルリン交響楽団、指揮ジェラルド・オスカンプによる「杉谷昭子ベートーヴェンピアノ協奏曲全集」(ビクターエンタテイメント)より「皇帝」。この全集にはマルタ・アルゲリッチがおみごととライナーノートに賛辞を送っています。この全集は推奨します。以上「杉谷皇帝」だらけでしたが、正に長年ドイツ正統派と称され聴く者を魅了してきました。

 ところで今回のプログラムでピアニストからのひとこととして、ご自身がおっしゃっている基本を論理的におさえて情感が少し勝った方がいいと思うのですが云々、最近少々謙虚になられたのでしょうか。もちろん楽譜を眺めながらでもよろしいですが(チャイコ1番に限らず)。「杉谷昭子作曲」大いに結構と思います。ちょっとご参考ですが、音楽評論家藤田晴子氏がかつてプラハ放送交響楽団とのチャイコ1番の杉谷さんを評して「・・・前略・・・近頃、杓子定規の判で押したような演奏を聴くが・・・中略・・・その熱演に快く酔い気がついてみると音楽の楽しさに人知れず涙ぐんでいた・・・中略・・・この日は乗りに乗ってしまった。」杉谷ファンはここにはまってしまう訳です。
 これからも「杉谷皇帝」を楽しみにしています。如何でしょうか、伊豆フィルとの協演聴いてみたいものです。

 私事で恐縮ですが、TBSテレビで歌謡曲いわゆる歌番FM東京グループでジャズ、中国音楽、ミュージカルなどステージ制作に携わりました。当社のFM東京ホールでは何度か杉谷さんのリサイタルや門下生のコンサート、室内楽ではライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者カールズスケ、ユルンヤコプティム氏との協演などプロデュースさせていただきましたが、アマルコルドクヮルテットベルリン(ベルリンフィル)トップソリストとの協演など室内楽も素晴らしいです。

 短文のつもりが長くなってしまいました。
 今年は演奏活動40周年、ベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏会(第1回は1996年6月東京文化会館小ホール)も昨年10月完奏。今回伊東市民にもなられ伊豆フィル楽員の皆さんとのご縁が出来ました。かつてクララシューマン国際ピアノコンクールでアルゲリッチ、ワイセンベルク、アシュケナージと並んで日本代表審査員を務められた時の経験やコンクールへのノウハウ、ヨーロッパ音楽事情などを皆さんへ伝授していただきたいものです。
 すでに「わくわくサロン」でお聞きになったかと思いますが、もっともっと杉谷さんとのお茶をお勧めします。音楽を志す方々には山ほどあるエピソードは為になったりならなかった(失礼)楽しいことは請け合いです。小生が保証します。(笑)又杉谷さんご自身にはマイペースの演奏活動と杉谷アカデミー中心に音楽教育活動でのご尽力を希望しています。そして方のこらないワイン片手に「サロンコンサート」なども・・・。
 さらに若い人はもちろんもっと高齢者熟年の方がたくさんコンサートへ足を運んで欲しいものです。その後は"伊豆の温泉"にゆったり、心がさらに豊かになる・・・いいですネ〜。これからも伊豆フィルのますますのご発展に期待するとともに団員お一人おひとりがお客様と"わくわくした音楽人生"を楽しんでください。

 本当にオーケストラっていいものですね。楽しい時も、そして寂しい時も・・・。

                          
 
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伊豆フィルハーモニー管弦楽団


伊豆フィルは、音楽を愛する心と“わくわくする心”を持ち続け、常に新しいよろこびを求める愛と調和を奏でることにより、伊豆を中心として地域文化の発展に寄与する事を目的としてます。

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