「伊豆フィル入門」
    ◆ 尾原 裕子:チェロ (伊豆の国市)

 
私にとって伊豆フィルは、初めてのオーケストラです。人と合奏した事もほとんど無く、無謀な行為だと思いましたが、やはり風に舞う木の葉の様な日々が待っていました。しかし、少しずつですが、1つ公演を終えて、オーケストラの魅力を感じ、団員の皆さんの伊豆フィルを愛し、高めて行こうという熱い思いを感じながら、次の公演に向けて頑張っています。
 今度の公演はファミリーコンサートという事で、親しみのある曲も多く、演奏するのも楽しみです。あまりコンサートに出かけない方々にも是非聞いて欲しいです。聞いた事はあってもあらためて全体を通して聞いてみると、なるほどと納得したり新鮮な気持ちになったりする事があると思います。
 実は私もあまりクラシックには詳しくないので、最初に譜面を受け取った時、こんな曲だったのかと思う事が多いのですが、合奏の練習に参加する度に、団員の方々の曲に対するイメージが断片的に見られたり、各々が歩み寄って演奏されていく様子を見たりして、自分も曲に近づこうとしています。(いえ、自分の事だけでいっぱいいっぱいな事が多いのですが。)
 人とコミュニケーションを取る事は難しいですが、音楽に参加する事で、人と触れ合う事が出来るのだという事を合奏の練習に出る度に感じています。コンサートを聞かれた方にも、そんなコミュニケーションを感じていただけたらと思います。その為にも今日も練習に励まねばと思っています。


                       (第28回定期演奏会に寄せて)
 「情景のある音楽」
    ◆ 櫛野 典子:ヴァイオリン (熱海市)

 今回の伊豆フィルの定期演奏会でお届けする曲目は、いつもとは一味違います。
 今回お届けする曲達には、以前にも増して、さまざまな風景とそれを味わう楽しさがあります。
「澄み切った青空の下、石畳の上を軽快に闊歩する馬達、騎乗している兵隊達の得意げな顔」、「茜色の夕日を浴びて飛び回る"ニヤけた顔"をしたネコバスと、興奮を隠しきれない五月とメイ」、「深い緑の中、静かな湖面を音もなく優雅に滑る白鳥」、「何処かのオフィスで、澄まし顔でタイプライターを打つ秘書のお姉さん」、「暴走した箒に、青くなったり赤くなったりと慌てくためく魔法使いの弟子」・・・。
 演奏していても、そういう情景が、色合いを帯びながら脳裏に次々浮かんできて、わくわくして嬉しくなってしまいます。もちろん、その情景は、演奏する人、聴く人によっては様々でしょう。聴衆の皆様の脳裏にどういう情景が浮かんでくるかは、私達の演奏にかかっていると思うと今から緊張してしまいます。落馬ばかりしている兵隊さんや、沼地で溺れかけている年老いた白鳥、ミスタイプばかりでヒステリックで粗忽な秘書さんでは困りものですね。五月やメイちゃんをネコバスから転落させたら、後々のお笑い種になってしまいます。そうならないように、私達は、情緒豊かな情景をお客様にお届けできるよう、日々練習に励んでおります。
 そうそう、伊豆フィル団員である、我らが麻里ちゃんの"ツィゴイネルワイゼン"のソロはこれだけでもう、聴きに来て良かったとご満足頂ける逸品です。一緒に演奏していて、スペインやドイツの暗く深い森に迷い込んだような錯覚さえ起こしてしまう程の名演です。
 今回も、観客の皆さんを楽しませる事が大好きな指揮者の田久保先生は、前回の"くるみ割り人形"に引き続き、色々と演出を凝らして下さるでしょう。また、金杉さんのセリフで語られる物語も、音楽に色彩を添えて下さいます。
 日頃、「クラシック音楽は、敷居が高くて」と、クラシック音楽の演奏会に足をお運びにならない皆様、これを機会に、演奏を聴きにではなく、音楽が醸し出す"情景"を観にいらっしゃいませんか?

                       (第28回定期演奏会に寄せて)

 「楽器でおしゃべり」 
      ◆ 野崎 美香:クラリネット (下田市)

 私がクラリネットを始めたのは中学生の時でした。ソフトボール部と吹奏楽部、どちらの部に入ろうかと悩んだ末「運動部は毎日練習が遅いし日曜も試合。その点、文化部なら・・・」と、吹奏楽部に決めたのです。
 ところが、毎日の練習はもちろんのこと、コンクールや演奏会前ともなれば帰りは運動部より遅いし日曜練習だって当たり前!ということに気づくのに、それほど時間はかかりませんでした。
 「さてでは何の楽器を?」となって、当時オーケストラしか知らなかった私は「人数の少ない楽器をやろう」」と2人で演奏するイメージの強かったクラリネットを選んだのでした。
 しかし、吹奏楽部のクラリネットパートは部内一の大所帯。ですがまだまだシャイだった私は他の楽器に変わることもできずに決定したのでした。
 「人生って思い通りにならないのね」と悟る中で出会ったクラリネットと私。「音色が好きだから」とか「先輩が吹いているのがかっこよかったから」等という甘い関係とは無縁に、打算の果ての大誤算からつきあいは始まったのでした。
 でもそんな出会いからもう数十年。今でもこうしてクラリネットとは離れられず、しかもオーケストラや吹奏楽という思いを一つにした大勢の仲間の中、音楽という言葉で会話をするために私にとっては必要不可欠な存在になっているのです。自由自在に、とはとてもいかないけれど、それでもクラリネットで他の木管楽器と話していれば「何か楽しそうだね」と、金管や打楽器が話しかけてきます。時には指揮者に「そこ、ちょっとうるさいな」なんて注意される事もあるけれど、すかさず弦楽器が「私も混ぜて」と音の輪が広がっていくのです。
 皆さんもにぎやかな楽器のおしゃべりを聴きにファミリーコンサートにいらっしゃいませんか?下田、伊東の二会場でご来場を心よりお待ちしています。

                       (第28回定期演奏会に寄せて)
 
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伊豆フィルハーモニー管弦楽団


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